ふたり旅

 私が小学5年の頃

どういう理由だったかは忘れましたが、父が大阪に行くと言い

私も連れて行ってくれたのです

父にとっては大学の旧友と会ったり思い出の地を訪れるなどし

回顧の旅だったようです


私にとっては初めての二人旅

修学旅行でもそんな遠くには行ったことがありません

1月とか12月とかそこらだったでしょうか

インスタントカメラの写ルンですで父が撮ってくれた写真の中の私は

サッカーで使うような分厚い黒いベンチコートを着て

笑顔は無く、頬杖をつき決め顔

どれも気取っているように構えていました


連れて行ってもらった場所や出来事で覚えているのは

阪大の学食、ホルマリン漬けの献体の話、知恩院、梅田の地下のインディアンカレー、他にも色々


インディアンカレーでは止めておけという父の忠告を無視し

ハヤシライスではなく普通のカレーを注文して見事撃沈

ありえない辛さのせいで味覚どころか舌の感覚が半日近くなくなりました





どういう意図を持って父が私を連れての二人旅を行ったのかは

謎のままです

幸い今も健在なので、本当に気になるのであれば

尋ねたら一発なんでしょうけど

そういうことを尋ねて

結局味気なかったら面白くないかな、もしくは

崇高な意味が含まれてのことだとして、それを知ってしまうのは

きっと野暮だな、とも思うのです



正直なところ

この二人旅は自分の中ではかなり大きな出来事だったようで

自分の子どもが大きくなったら

父が私にしてくれたように

私も子どもたちにしてやりたいと

普段からコッソリ思いを強くしていたのです


長男である私が生まれた時の父の年齢と同じ歳で私にも長女が生まれ

その長女は今年が小5

まさに今年度がその時期


この10歳という年齢は

思いの外、その後の人の人格に影響を与える時期でもあります

もちろんそれを足かせと捉えて後から変えていくことも可能ですが

強固に自分自身に刷り込まれ

その後の自分の行動にも無意識下で影響を与えます


この頃は長女と二人旅をしたいな、と思うたびに

「ああ、随分自分の記憶に振り回されているのだな」

と思うようになりました


しかしまぁそうやって振り回されるのも自分だと認めて

それならば自分にとって別の意味合いを持たせてやろう、と

半ば開き直りました





私を連れ立った二人旅に父がどういった意味付けをしていたのかは分かりません

もしかしたら私も結局

父と同じようなことを考えるかもしれませんが

それはそれで仕方ない

正解を知らなければ正解は存在しないですからね、知らないままで良いでしょう

私が旅行をしたい理由も、もう父から独り歩きしているはずです





と、いうことで年が明けてからを目処にして

娘と二人で京都に行こうかな、と

途中、友人のカフェに寄りに茨木にも出没します



今年残り半年を張り合い持たせて乗り切る良い目標

楽しみです




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